こんにちは。
ラッパ吹きの防音研究所の案内人「J」です。
音楽をやっていると「音源」って言葉、本当によく耳にしますよね。
でも、いざ「音源とは」と聞かれると、スッキリ説明するのに困っちゃいませんか。
私もラッパ吹きとして、自分の練習用の伴奏を作ろうと思った時に、この言葉の多義性にぶつかりました。
辞書で調べると「音の発生源」という意味が出てきたり、かと思えばCDや音楽データ(MP3とか)のことかな?と思ったり。
日常会話では「新曲の音源が解禁された」なんて使いますしね。
そこから一歩進んで、DTM(デスクトップミュージック)の世界に足を踏み入れようとすると、「ソフト音源」とか「MIDI」とか、また新しい意味で「音源」という言葉が登場してきて…。
「MIDIと音源って何が違うの?」って、最初のうちは本当に混乱しました。
さらに音楽業界の「権利」の話になると、「原盤権」なんていう、ちょっと難しそうな言葉もこの「音源」に絡んでくるんです。
もう、どの文脈で話しているのか分からなくなっちゃいますよね。
この記事では、そんな「音源」という言葉が持ついろんな顔について、私「J」と一緒に一つひとつ整理していけたらなと思います。
音源にはどんな種類があるのか、どうやって音を出しているのか、無料(フリー)で使えるものから、私たちがよく耳にするカラオケ音源やハイレゾ音源との違いまで、基本的なところをしっかり押さえていきましょう。
このフワッとした言葉の正体がわかると、音楽を聴くのも、もちろん演奏したり制作したりするのも、もっと楽しくなるかもしれませんよ。
- 「音源」という言葉が持つ複数の意味がわかる
- 音楽業界で大切な「権利」との関係がわかる
- DTMでの「音源」の役割や種類がわかる
- 自分に合った音源の選び方がわかる
音源とは?辞書と業界での意味

まずは「音源」という言葉が、どんな場面でどんな意味で使われているのか、基本的なところから押さえていきましょうか。
この言葉は、使われるコミュニティによって意味がガラッと変わるのが特徴です。
そこを整理するのが、混乱を解くための第一歩ですね。
音源とは?その基本的な意味

まず、辞書で「音源」と引くと、大きく二つの意味が出てくることが多いです。
これが一番ベーシックな理解になりますね。
1. 音の「発生源」としての音源
一つ目は、「音が発生する源、またはその物体」という意味です。
これはすごく物理的な話ですね。
例えば、人が話す声(声帯の振動)も、私が吹くラッパ(唇と楽器の共鳴)も、鳥のさえずりも、テレビから出ている音(スピーカーの振動)も、全部が「音源」です。
音響学の世界で「音源の位置を特定する」とか「音源からの距離」なんて言う時は、まさにこの意味で使われています。
「音の源(みなもと)」という、言葉通りの意味ですね。
2. 「記録媒体」としての音源
二つ目は、「楽曲や人の声などを記録した媒体」という意味です。
こっちのほうが、私たちが日常会話で使う「音源」としては馴染み深いかもしれません。
例えば、「あのバンド、来月新しい音源が出るらしいよ」とか「ライブ会場限定の音源を手に入れた」みたいに使いますよね。
これは、CDやレコード、カセットテープといった物理的なモノから、現代ではMP3やWAV、ストリーミング配信される音楽データファイルそのものまで、幅広く指しています。
厳密には媒体自体が音を発生させているわけじゃない(再生装置が必要)ので、一つ目の意味から派生した用法かなと思います。
録音された「音楽コンテンツそのもの」を指す言葉として、すっかり定着しています。
音を「創り出すもの」と、その音を「収めたもの」。
すでにこの時点で二つの意味があって、日常会話でも無意識に使い分けているから、ちょっとややこしく感じちゃうんですよね(笑)。
音楽業界での音源と原盤権

次に、音楽業界やビジネス、法律の世界になると、「音源」という言葉はさらに専門的で、非常に重要な法的な意味合いを持ってきます。
この文脈で「音源」と言う場合、それは単なるCDや音楽ファイルのことではなく、「市販されるために制作された録音物のマスター(原盤)」を指すことがほとんどです。
CDをプレス(大量生産)したり、各配信サイトにデータを納品したりするための、ミキシングやマスタリングといった全ての編集作業が完了した「元となるデータ」のことですね。
この世に一つしかない(あるいは厳重に管理される)オリジナルの録音物、というイメージです。
そして、ここがすごく大事なんですが、この「音源(原盤)」には「原盤権」という、とても強い権利がくっついてきます。
これは、そのレコーディングにかかった費用を負担した人、つまり多くの場合レコード会社や音楽制作プロダクションが持つ権利です。
簡単に言えば、「その録音された音(=原盤)を、どう使うかを決める権利(複製したり、配信したり、貸したりする権利)」ですね。
法律的には、これは「著作隣接権」と呼ばれる権利の一つに分類されています。(出典:文化庁「著作隣接権の概要」)
ここで、音楽クリエイターや利用者として絶対に知っておかないといけないのが、「楽曲」の権利と「音源」の権利はまったく別物だ、ということです。
知っておきたい!「楽曲」と「音源」の権利の違い
音楽には、大きく分けて2種類の権利が乗っかっています。
- 楽曲の権利(=著作権) 作詞家・作曲家が持つ「メロディと歌詞」という作品そのものへの権利です。 (管理:JASRACなどの著作権管理団体)
- 音源の権利(=原盤権・著作隣接権) レコード会社などが持つ「特定のアーティストが演奏・歌唱した、特定の録音データ」という商品そのものへの権利です。 (管理:各レコード会社や原盤制作者)
この二つは完全に独立しています。
例えば、あなたが映画を撮っていて、Aさんの大ヒット曲を使いたいとします。
もし「Aさん本人が歌っているCDの音」をそのままBGMとして使いたいなら、作詞家・作曲家(JASRACなど)に「著作権」の許諾をもらうだけでなく、AさんのCDを作ったレコード会社に「原盤権」の許諾ももらわないといけません。
もし原盤の使用料が高すぎたり、許諾が下りなかったりした場合は、「著作権」の許諾だけをもらって、別のBさんという歌手にカバー演奏してもらって、新しい「音源」を録音して使う…という選択肢もあるわけです。
この違いは、「歌ってみた」動画などでもすごく重要です。
アーティストの公式チャンネルなどで配布されている「カラオケ音源」は、原盤権を持っているレコード会社が「この音源(原盤)は、皆さんがカバー動画を作るために自由に使っていいですよ(複製・配信してOKですよ)」と特別に許諾してくれているもの、ということになります。
だから、私たちは安心してそれを使って動画を投稿できるんですね。
逆に、CDからボーカルだけを無理やり消したような音源を勝手に使うのは、この原盤権(複製権)を侵害してしまう可能性が非常に高いので注意が必要です。
権利関係は本当に複雑なので、もしビジネスや収益化が絡む形で音楽を扱う場合は、必ず専門家やJASRAC、RIAJ(日本レコード協会)などの管理団体に確認してくださいね。
DTMにおける音源の役割

さて、ここからが現代の音楽制作、特にDTM(デスクトップミュージック)をやっている人、これからやりたい人にとって一番大事な「音源」の話です。
これまでの2つとは、またガラッと意味が変わりますよ。
DTMの世界で「音源」と言うと、それはコンピュータの中で音を生成するためのデジタルツールのことを指します。
昔は「音源モジュール」といって、音を出すためだけの専用の機械(ハードウェア)を指すことも多かったんですが、PCの性能が爆発的に上がった今、そのほとんどが「ソフトウェア音源(ソフト音源)」と呼ばれるコンピュータプログラム(プラグイン)になりました。
すごく簡単に言ってしまうと、「PCの中にある仮想的な楽器」のことですね。
ピアノ、ドラム、ギター、シンセサイザー、それこそバイオリンやチェロ、私の吹くトランペットまで、ありとあらゆる楽器が「ソフト音源」として存在しています。
DAW(ダウ)と呼ばれる音楽制作ソフト(スタジオ全体みたいなもの)の中で、これらの「仮想楽器(音源)」を棚から引っ張り出してきて、演奏させることで、一人でもオーケストラみたいな曲が作れてしまうわけです。
私がラッパの練習の伴奏(カラオケ)を作る時も、このソフト音源にピアノやベース、ドラムを演奏してもらってます。
この記事の後半では、主にこのDTMにおける「音源」について、もう少し詳しく見ていきますね。
MIDIと音源の違いとは?

DTMを始めた人が最初につまずきやすいのが、この「MIDI(ミディ)」と「音源」の関係かなと思います。
私も最初は「MIDIキーボードを弾けば音が出るんじゃないの?」と思ってましたから(笑)。
この二つは、セットで使われることが多いですが、役割は全く違います。
一番よく使われる例えが、「MIDI = 楽譜」「音源 = 演奏者」という関係です。
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)というのは、音そのものではなくて、「演奏情報」を記録するための世界共通の規格(ルール)です。
MIDIデータには、「どの高さの音(ドの音)を、どれくらいの強さ(ベロシティ)で、どのくらいの長さだけ弾くか」といった指示(データ)だけが記録されています。
MIDIデータだけでは、音は一切鳴りません。
それはまさに、音符や強弱記号が書いてあるだけの「楽譜」と同じですね。
その「楽譜(MIDI)」を読み取って、実際に音を鳴らしてくれるのが「音源(演奏者)」の役目です。
DAWソフト上でMIDIデータを作成(この作業を「打ち込み」と呼びます)し、それを再生すると、DAWは「このMIDIデータは、ピアノ音源さんに渡してね」と指示を出します。
指示(MIDI)を受け取ったピアノ音源(演奏者)が、初めて「ドの音を、この強さで、この長さだけ鳴らします」と発音してくれるわけです。
DAWソフトの画面で、ピアノロールと呼ばれる編集画面にポチポチと音符(ノート)を打ち込んでいく作業がありますよね。
あれがまさに「楽譜(MIDIデータ)」を作っている作業です。
そして、そのMIDIデータが置かれているトラック(パート)に対して、「あなたはA社のピアノ音源を使いなさい」「あなたはB社のドラム音源を使いなさい」と、「演奏者(音源)」を割り当てていくイメージですね。
この「演奏情報(MIDI)」と「音そのもの(音源)」が完全に分離しているシステムこそが、DTMが持つとんでもない柔軟性の源泉なんです。
例えば、一度ピアノで打ち込んだメロディ(MIDIデータ)があるとします。
そのMIDIデータを、そのままバイオリンの音源に演奏させたら、全く同じメロディをバイオリンが演奏してくれます。
「やっぱりこの曲、テンポをもう少し上げたいな」とか「キーを半音上げたいな」と思った時も、MIDIデータ(楽譜)の設定を変えるだけで、音源(演奏者)は文句も言わずにその通りに演奏し直してくれます(笑)。
これが、一度録音してしまうと変更がすごく大変な「オーディオデータ(波形データ)」との決定的な違いですね。
ハードウェアとソフトウェア音源

さて、そのDTMで使う「音源(仮想楽器)」ですが、その形態によって大きく二つに分けられます。
それが「ハードウェア音源」と「ソフトウェア音源」です。
現代のDTMではソフトウェア音源が主流ですが、それぞれに良さがあって、今でもプロは使い分けていますね。
ハードウェア音源
シンセサイザーや音源モジュール(ラック型とかデスクトップ型とか)といった、物理的な「機材」のことです。
PCとは別に、それ自体がCPUと音を出す回路を持っていて、単体で音を出す機能を持っています。
メリットは、なんといっても動作の安定性と、PCのCPUに負荷をかけないことです。
PCがフリーズしても、こっちは音を出し続けてくれる、みたいな安心感があります。
特にライブパフォーマンスなんかでは、今でもハードウェアの信頼性は絶大ですね。
あと、物理的なツマミやスライダーをグリグリいじって直感的に音作りできるのも、楽器みたいで楽しいです。
デメリットは、やっぱり高価なものが多く、場所を取ること。
新しい音色が欲しくなったら、新しい機材を買うか、拡張カードなどを追加する必要があり、拡張性には限界があります。
ソフトウェア音源
さっきから出ている、PCのDAWソフトの中で動作する「プログラム(プラグイン)」のことです。
PCの画面内で操作する「仮想的な楽器」ですね。
メリットは、なんといってもその柔軟性とコストパフォーマンス、省スペース性です。
PC一台あれば、文字通り何百種類、何千種類もの楽器(音源)を持つことができます。
プロジェクトファイル(DAWの保存データ)を開けば、使った音源の設定やツマミの位置まで、全部そのまま完璧に再現されますしね。
デメリットは、高品質な音源になればなるほど、PCのCPUやメモリを大量に消費することです。
PCのスペックが低いと、音が途切れたり、DAWごとフリーズしたりするリスクが常につきまといます。
両方の特徴をざっくり表にまとめてみますね。
スマホなどで表がはみ出す場合は、横にスクロールできるかなと思います。
| 特徴 | ハードウェア音源 | ソフトウェア音源 |
|---|---|---|
| 形態 | 物理的な機材(シンセ等) | PC内のプログラム(プラグイン) |
| PC負荷 | ほぼゼロ(PCはMIDI信号を送るだけ) | 高い(音源自体がPC上で動く) |
| 安定性 | 非常に高い(単体で動作) | PCスペックや他のソフトとの相性による |
| コスト | 初期投資が高価な傾向 | 無料から高価なものまで様々 |
| 携帯性 | 場所を取り、重い | データなので場所を取らない |
| 音色の拡張性 | 限定的(機材やカードの追加が必要) | ほぼ無限(ソフトを追加するだけ) |
| 再現性 | ツマミの位置など物理的な設定の記録が必要 | DAWプロジェクト内に全て保存・再現される |
どちらが絶対に優れている、というわけではなく、本当に目的次第ですね。
ライブでの安定性や機材をいじる楽しさを求めるならハード、スタジオでじっくり曲作りをするならソフト、というのが基本的な考え方かもしれません。
ただ、これからDTMを始めるという方は、まずはDAWに最初から入っている「ソフトウェア音源」から触ってみるのが、追加コストもかからず一番手軽で分かりやすいかなと思います。
DTMでの音源とは?種類と選び方

基本的な意味がわかったところで、ここからは現代の音楽制作、特にDTMで活躍する「ソフトウェア音源」について、もうちょっと深く掘り下げてみましょう。
「仮想楽器」といいましたが、実はその「音の作り方」にもいくつか種類があります。
どうやって音を出しているのか、どんな種類のパッケージがあるのかを知ると、音源選びがグッと楽になりますよ。
音源の3つの発音方式と種類

ソフトウェア音源がどうやって音を生み出しているか、その「発音方式」には、大きく分けて3つのタイプがあります。
それぞれに得意な楽器、不得意な楽器があって、これがわかると「なぜこのピアノ音源はリアルなのか」「なぜこのシンセは変な音がするのか」が理解できてきます。
1. サンプリング音源 (PCM方式)
これは、実際の楽器の音を一つ一つマイクで録音(サンプリング)して、その録音データ(サンプル)を再生する方式です。
例えばピアノ音源なら、「ド」の音を弱く弾いた音、中くらいで弾いた音、強く弾いた音…と、全部録音しておいて、MIDIの指示(強さ)に合わせて再生する音を切り替える、といった感じです。
強み: 本物の音を使っているので、圧倒的にリアルな音が出ます。ピアノやドラム、オーケストラの楽器(バイオリンやトランペット)みたいに、響きが複雑なアコースティック楽器の再現は、この方式が一番得意ですね。
弱み: リアルな分、録音データの容量(ギガバイト数)がものすごく大きくなりがち。高品位なオーケストラ音源だと、それだけで何百ギガバイトにもなって、PCのストレージやメモリを圧迫します。また、録音された音を再生するだけなので、音色を大胆に加工するのは苦手です。
2. シンセサイザー音源
こちらは録音された音を使うんじゃなくて、「サイン波(ピー)」とか「ノコギリ波(ブー)」といった電子的な基本波形を作り出して、それをフィルター(音をこもらせる)やエンベロープ(時間変化)などで加工して音を合成する方式です。
強み: ゼロから音を作るので、現実には存在しないような独創的なサウンドを自由自在に作れるのが最大の魅力。「ピコピコ」「シューッ」「ブォーン」「キラキラ」みたいな電子音楽(EDMとか)で聴く音は、だいたいこれですね。データ容量も非常に軽いです。
弱み: 逆に、本物のピアノやバイオリンみたいな、生楽器の複雑な響きをリアルに再現するのはすごく苦手です。
3. 物理モデリング音源
これは比較的新しい方式で、サンプリングとシンセサイザーの中間みたいな感じです。
録音もしないし、波形を合成するのでもない。
楽器の物理的な構造(ギターなら弦の材質や太さ、ボディの形)や、発音の原理(弦がどう振動してどう共鳴するか)を、コンピュータ上で数学的にシミュレート(計算)して、リアルタイムで音を生成します。
強み: 非常に高い表現力とリアルタイム性です。例えばギター音源なら、弦を弾く強さや位置、ピッキングのニュアンスといったMIDIの指示に応じて、音が「生演奏」のように滑らかに変化してくれます。サンプリング音源が「録音された演奏写真の切り替え」だとしたら、物理モデリングは「楽器の3Dモデルをリアルタイムで動かす」みたいな感じです。データ容量も比較的小さいです。
弱み: 複雑な計算をリアルタイムで行うので、PCのCPUに結構な負荷がかかります。また、リアルな音を出すには、その楽器の奏法を理解した打ち込みが求められることもあります。
これらの方式は、どれが一番優れているというわけではなく、作りたい音によって使い分けるのがベストですね。
総合音源と専用音源の比較

次に、DTM音源の「パッケージ」のされ方、つまり「売られ方」にも、大きく分けて2種類あります。
これは音源を選ぶ時に、最初に悩むポイントかもしれません。
総合音源(マルチ音源)
これは、その名の通り、ピアノ、ドラム、ベース、ストリングス、シンセ、民族楽器…と、あらゆるジャンルの楽器の音色がワンセットになった「幕の内弁当」みたいな音源です。
DAWソフト(Logic ProやCubaseなど)に最初から付属している音源も、このタイプが多いですね。
メリット: コストパフォーマンスが非常に高いこと。これ一つあれば、とりあえずどんなジャンルの曲でも形にできるので、DTM初心者の方はまずここからスタートするのがおすすめです。
デメリット: 「広く浅く」なりがちな点です。個々の音色のクオリティは、その楽器に特化した「専用音源」には及ばない場合があります。「餅は餅屋」という言葉通り、最高品質を求めると「ドラムの音がちょっと軽いな…」みたいに物足りなさを感じることが出てくるかも、という感じです。
専用音源
こちらは、「ピアノだけ」「ドラムだけ」「ベースだけ」というように、特定の楽器カテゴリーに特化して、そのクオリティをとことん追求した「専門店」みたいな音源です。
メリット: その楽器の音質、奏法の再現度、調整できる細かさ、すべてにおいて圧倒的なクオリティを持っていることが多いです。例えば、ドラム専用音源なら、マイクの種類や立てる位置、チューニングまで細かく調整できるものもあります。
デメリット: 当然ですが、一つの楽器の音しか手に入りません。バンド全体の音源を「専用音源」で揃えようとすると、結果的に総額がかなり高くなる傾向があります。
多くのDTMユーザーは、まずDAW付属の総合音源や市販の総合音源(Native Instruments社の「KOMPLETE」などが有名ですね)で制作を始めて、曲作りを進める中で特にこだわりたいパート、例えば「やっぱりドラムは生々しい音が欲しい!」となったら、ドラムの「専用音源」を買い足す…といった感じで、自分のスタジオを少しずつアップグレードしていくのが一般的な流れかなと思います。
初心者向け音源の使い方と選び方

「じゃあ、結局初心者は何から手をつければいいの?」となりますよね。
私もそうでしたが、最初は音源の種類が多すぎて、どれも良く見えてしまって選べないものです。
私の経験から言うと、焦って高価な有料音源にすぐに飛びつく必要はまったくないかなと思います。
まずは、いくつか確認しておくべき重要なポイントがあります。
初心者のための音源選びのポイント
- まずはDAW付属の音源を使い倒す! 今のDAW(AppleのGarageBandやLogic、SteinbergのCubaseなど)に最初から入ってる音源って、昔とは比べ物にならないくらい品質が高いです。まずはそれらを徹底的に使い込んでみましょう。「この音源にはどんな音が入ってるのかな」「どんな曲が作れそうかな」と探ることで、機能の使い方も学べますし、自分に本当に足りない音が何なのかが明確になります。
- 作りたい音楽ジャンルを定める 音源選びで最も重要なのは、自分の作りたい音楽のジャンルに合っているか、という点です。ロックやバンドサウンドが作りたいのに、ゴリゴリのEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)向けのシンセサイザー音源を買っても、宝の持ち腐れになっちゃいますよね。逆に、壮大な映画音楽が作りたいのであれば、リアルなオーケストラ音源への投資が必要になります。
- 互換性と動作環境を必ず確認する これは技術的ですが、超重要です。「せっかく買ったのに自分のPCやDAWで動かなかった…」は一番悲しいパターン。
- プラグイン規格: 自分のDAWが対応している規格(WindowsならVST、MacならAUやVSTなど)か確認しましょう。
- PCスペック: 音源が要求するPCのスペック(CPUの速さ、メモリの容量、必要なハードディスクの空き容量)を、自分のPCが満たしているか必ず確認しましょう。特にサンプリング音源は大量のメモリ(RAM)を要求することが多いです。
- デモ音源やレビュー動画を参考にする 製品名や評判だけで判断せず、メーカー公式サイトで公開されているデモソングやデモ音源を自分の耳でしっかり聴きましょう。また、YouTubeなどで、その音源を実際に使っているレビュー動画を観るのもすごく参考になります。「思っていた音と違った…」という失敗を防ぐことができます。
まずは手持ちの道具(DAW付属音源)でとことん遊んでみて、どうしても欲しい音、表現したいことが明確になってきた時に、初めて有料音源や、次で紹介するフリー音源を探しに行く、というのが一番効率的で、上達も早い道かなと思います。
おすすめの無料(フリー)音源
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そうは言っても、DAW付属の音源だけだとちょっと物足りなくなってくるのも事実。
そんな時に、いきなり有料音源を買う前にぜひ試してほしいのが「フリー音源」です。
すごいことに、最近は無料(フリー)でありながら、有料製品に匹敵する、あるいはそれを超えるんじゃないか?というくらいハイクオリティなソフトウェア音源がたくさん配布されています。
これらを使わない手はありません。
例えば、私のお気に入りはSpitfire Audioという会社が出している「LABS」というシリーズです。
これは「LABS」という専用のプレイヤー(これも無料)上で動く音源ライブラリなんですが、次々と新しい音源が無料で追加されていきます。
特に「Soft Piano」というピアノ音源は、すごく柔らかくて雰囲気のある音がして、これだけで曲が作りたくなるほどです。
ストリングスやちょっと変わった効果音まで、インスピレーションを刺激する音源がたくさん揃ってますよ。
他にも、シンセサイザー音源なら「Vital」(バイタル)という音源が、無料とは思えないほどの多機能さと音の良さで、世界中のクリエイターに衝撃を与えましたね。
EDM系の音作りなら、これ一つでかなりのことができるはずです。
「DTM フリー音源 おすすめ」とか「フリー音源 ピアノ」みたいに検索すると、たくさんの情報が出てくるので、自分のジャンルに合いそうなものを探してみるのも楽しいですよ。
フリー音源を使う時の注意点(ライセンス確認)
ただし、無料の音源やサンプル素材を使う時は、必ず「ライセンス(利用規約)」を確認するクセをつけましょう。
ダウンロードページや付属のテキストファイルに書いてあります。
多くは問題なく使えますが、中には「無料だけど、商用利用(お金が絡むこと、例えば作った曲を販売したり、広告収入のあるYouTubeで使うこと)はダメですよ」とか、「使う時はクレジット表記(制作者名)をどこかに入れてくださいね」といったルールが決められている場合があります。
後で「知らなかった」では済まないトラブルにならないためにも、そこだけはしっかりチェックしておきたいですね。
カラオケ音源やハイレゾ音源とは

最後に、DTMの文脈とはちょっと違いますが、私たちが日常でよく聞く「〇〇音源」という言葉についても、ここで整理しておきますね。
これらも「音源」という言葉を使いますが、DTMの「仮想楽器」とはまた別のものです。
カラオケ音源 (オフボーカル音源)
これはもう、その名前の通りですね。
楽曲からメインボーカルのパートだけを取り除いた、伴奏のみの音源のことです。
「オフボーカル(off vocal)音源」とか「インスト(Instrumental)音源」とも呼ばれます。
主な用途は、もちろんカラオケで歌うためや、ボイストレーニング、「歌ってみた」動画を制作する時なんかに使われます。
これはDTMで作る「仮想楽器」ではなく、音楽業界のところで話した「原盤(録音データ)」の一種(からボーカルを抜いたもの)と言えますね。
ハイレゾ音源 (Hi-Res Audio)
これは「ハイレゾリューション(高解像度)音源」の略です。
これは音楽を「聴く」時の話で、一般的な音楽CD(サンプリング周波数44.1kHz / 量子化ビット数16bit)を超える情報量を持つ、高音質な音楽データのことです。
CDに音楽を収録する時って、データ容量の制約から、実は人間には聞こえにくいとされる非常に高い周波数の音や、微細な音量の変化の一部はカットされているんです。
ハイレゾ音源は、例えば「96kHz/24bit」のように、より高いサンプリング周波数(音を記録する細かさ)と、より細かい音量段階(24bit)を持つため、CDでは記録しきれなかった音のディテールや空気感、演奏の臨場感までを再現できるとされています。
これは、スタジオで録音されたマスター音源に、より近いクオリティで音楽を楽しみたい!というオーディオファン向けの「記録媒体(データ)」ですね。
「作る」ためのDTM音源とは、また別のカテゴリーの話になります。
まとめ:音源とは音の豊かさの源
いやー、「音源」という一言に、本当にいろんな意味が込められていましたね。
今回の話をまとめると、こうなります。
「音源とは」、使われる文脈によってこんなに意味が変わる言葉でした。
- 【日常や辞書では】 意味①:音の発生源(スピーカー、楽器、人の声など) 意味②:記録媒体(CD、音楽データ、レコードなど)
- 【音楽業界(権利)では】 意味③:権利(原盤権)が絡むマスター録音データ(原盤)
- 【DTM(音楽制作)では】 意味④:PCの中で動く「仮想楽器」(ソフトウェア音源)
私たちが今、音楽制作や演奏のために知りたい「音源」は、主にDTMで使う意味④の「仮想楽器(ソフト音源)」のことかなと思います。
そして、その「仮想楽器(音源)」は、「楽譜(MIDI)」という指示書に従って、忠実に(あるいは個性的に)音を鳴らしてくれる「演奏者」の役割を果たしてくれる、大事なパートナーなんですね。
どの意味で使われていたとしても、「音源」が音楽の豊かさや個性、そして魅力を生み出す「源(みなもと)」であることは、すべてに共通しているかな、と私は思います。
もしDTMに興味が湧いたら、まずは難しく考えずに、DAW付属の音源でいろんな音をポチポチ鳴らして遊んでみてください。
きっと「PC一つでこんな音が出るんだ!」って、ワクワクするはずですよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



