こんにちは。
「ラッパ吹きの防音研究所」所長の「J」です。
「エアコンの穴から、どうも外の車の音や話し声がうるさい…」とか、「隙間風のヒューヒューいう音が気になる」なんて悩んでいませんか。
エアコン穴の音漏れは、防音対策で見落としがちな、でも非常に重要なポイントなんですよね。
私も昔、トランペットの練習音でご近所に迷惑をかけていないか本当にビクビクしていた時期がありまして、その苦情がきっかけで防音を独学で徹底的に研究しました。
その結果、壁や窓と同じくらい、いや、それ以上に「壁に開いた穴」の処理が防音性能を左右するという事実に気づいたんです。
特にエアコンの配管を通すための穴は、構造上、防音の最大の弱点になり得ます。
賃貸物件だと大きな工事もできず、「せめてもの抵抗」と100均の隙間テープを買い込んで穴に詰め込んでみたり、生まれて初めてエアコンパテを自分で交換してみたり…本当に色々と試行錯誤しました。
中には、エアコンから聞こえる「ポコポコ音」がうるさいのを外部からの音漏れと勘違いして、的外れな対策をしてしまっているケースも多いんです。
また、原因をたどったら穴ではなく、実は屋外にある「室外機」の振動音だった、なんてこともあります。
この記事では、私のそんな恥ずかしい失敗経験も包み隠さずお話ししながら、エアコン穴の音漏れに関する防音対策について、原因の正しい見極め方から具体的なDIYの手順、そして絶対に守ってほしい安全上の注意点まで、徹底的に解説していきますね。
- エアコン穴から音が漏れる根本的な原因
- 「ポコポコ音」と「外部の音漏れ」の簡単な見分け方
- 自分でできるDIY防音対策の具体的な手順とコツ
- 賃貸物件で対策する際に絶対に守るべき注意点
エアコン穴の音漏れと私の防音対策失敗談

正しい対策を知るには、まず「よくある間違い」を知るのが一番の近道です。
私が防音室をDIYする前にやらかした、エアコン穴に関する勘違いや、今思うと「危なかったな…」という失敗談を共有しますね。
皆さんはぜひ、私と同じ轍を踏まないでください。
それはポコポコ音?音漏れとの違い

まず、一番多い勘違いがこれです。
エアコンの室内機や、その穴のあたりから「ポコポコ」「ポンポン」という、水がはねるような特徴的な音が聞こえることはありませんか。
これを「外の音が漏れている!」と勘違いして、慌てて穴の隙間を塞ごうとする方がいますが、ちょっと待ってください。
その音、外からの「音漏れ」ではなく、エアコン内部の問題かもしれません。
警告:これは「音漏れ」ではありません
「ポコポコ音」は、外部の騒音が穴の隙間から入ってくる「音漏れ」とは全く別の現象です。
したがって、いくら穴の隙間をパテで埋めても、この音は絶対に止まりません。
原因を正しく突き止めることが重要です。
この音の主な原因は、科学的に見ると以下の2つが考えられます。
原因1:室内外の気圧差(負圧)
特にマンションのような近年の高気密住宅で起こりやすい現象です。
例えば、キッチンの換気扇を「強」で運転したり、24時間換気システムが作動したりすると、室内の空気が強制的に屋外に排出されます。
すると、室内の気圧が室外よりも低くなります(これを「負圧」状態と呼びます)。
自然は気圧の差を嫌うので、外の空気はどこからか室内に入ろうとします。
その侵入経路として狙われやすいのが、エアコンの結露水を外に出すための「ドレンホース」なんです。
外気がドレンホースから逆流し、ホース内に溜まっている結露水を通過する際に「ポコポコ」と音を立てる、というのがこの現象の正体ですね。
(ダイキン工業などの大手メーカーも、この現象について公式に解説しています)
原因2:ドレンホースの詰まり
もう一つの可能性は、単純にドレンホースの内部や先端部が詰まっているケースです。
屋外にあるホースの先端から虫が入ったり、内部にホコリやカビが溜まったりすると、結露水の流れが妨げられます。
その結果、水がスムーズに流れず、空気と水がぶつかって音が発生することがあります。
まずはご自身の悩んでいる音がどちらなのか、下の早見表で冷静にチェックしてみてください。
(※スマホの方は横にスクロールできるかも)
| 悩んでいる音の種類 | 音の例 | 主な原因 | この記事での対策 |
|---|---|---|---|
| 外部音の侵入(音漏れ) | 車の走行音、人の話し声、風の音(ピューピュー) | エアコン穴の「隙間」(パテ劣化、スリーブ不良) | H3:遮音パテでの隙間埋め |
| エアコン動作音 | ポコポコ、ポンポン | 室内外の気圧差、ドレンホースの詰まり | H3:逆流防止弁が有効 |
| 振動・共振音 | ブーン、ガタガタ(エアコン稼働中) | 室外機の振動、設置不良、内部汚れ | H3:室外機の振動音も疑ってみる |
100均の隙間テープでは無力だった

さて、ご自身の音が「外部音の侵入(音漏れ)」だと特定できたとしましょう。
「よーし、DIYだ!」と意気込んで、まず私が昔やったのが、100円均一(ダイソーなど)の「すきまテープ」を穴に詰め込むという対策でした。
結果から言うと、これは気休めにもなりませんでしたね…。
同様に、お掃除用のメラミンスポンジ(激落ちくんみたいなの)や、フラワーアレンジメントに使う園芸吸水スポンジ(通称:オアシス)を詰め込む、というのもネットで見かけますが、これらも根本的な解決にはなりません。
なぜダメなのか?
それは、防音の基本原則を完全に無視しているからです。
防音の基本:「遮音」と「吸音」
音を防ぐには、音を跳ね返す「遮音(しゃおん)」と、音を吸収する「吸音(きゅうおん)」の2つが必要です。
- 遮音:音を遮断すること。原則として「重く」「厚く」「隙間なく」する必要があります。コンクリートの壁が静かなのは、重くて隙間がないからです。
- 吸音:スポンジのように、音のエネルギーを熱などに変えて消すこと。主に室内の反響音を抑えるのに使います。
100均のスポンジや隙間テープは、皆さんもご存知の通り、非常に軽くてスカスカですよね。
これらは「吸音」材のごくごく簡易的なものではありますが、音が通り抜けるのを防ぐ「遮音」の力はゼロに等しいんです。
風の「ピューピュー音」くらいなら、空気の流れを妨げることで少しはマシになるかもしれませんが、車の走行音や人の話し声のような騒音、特に低い音(低周波音)は、何の抵抗もなく突き抜けてきます。
私が悩んでいたトランペットの音(中〜高音域ですがエネルギーが強い)なんて、まったく防げませんでした(当たり前ですが)。
これは「応急処置」以下の「やったつもり」にしかならない、と私はこの失敗から学びましたね。
賃貸の壁穴にパテ埋めは必要か

「エアコンの穴がおかしい」「隙間が開いている」と気づいた時、特に賃貸物件にお住まいの方は、手が止まってしまうと思います。
「これ、勝手に修理していいの?」
「費用は誰が払うの? 大家さん? それとも自分?」
私も昔は賃貸アパートでトランペットを吹きたくて、壁に穴を開けずにどう防音するか、そればかり考えていましたから、そのお気持ちは痛いほどわかります。
ここで重要になるのが、「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)」と「原状回復義務」という、賃貸契約における2つの重要なキーワードです。
エアコンが「備え付け設備」か「自己設置」か
まず、そのエアコンが「元から部屋についていた設備」なのか、「あなた自身が入居後に持ち込んで設置した」ものなのかで、基本的な責任の所在が変わってきます。
- 備え付け設備の場合:エアコン本体やパテの「通常の経年劣化」に対する修繕義務は、原則として大家さん(貸主)にあります。
- 自己設置の場合:ご自身で設置したものの維持管理・修繕義務は、当然ながら入居者(賃借人)にあります。
「じゃあ、備え付けだから大家さんが直してくれるのを待てばいいや」と思った方、それが一番危険な考え方かもしれません。
「経年劣化」と「善管注意義務違反」の境界線
ここが最大の落とし穴です。
入居者には「善管注意義務」という法律上の義務が課せられています。
これは難しく聞こえますが、要は「借りている部屋なんだから、常識の範囲でちゃんと注意して管理してね」という義務のことです。
賃貸の鉄則:パテの劣化は「放置」が最大のリスク
エアコンパテが時間とともに硬化し、ヒビ割れ、脱落すること自体は「経年劣化」です。
しかし、ここからが重要です。
その隙間(音漏れ、隙間風)に気づいていながら「放置」した結果、そこから雨水や害虫(ゴキブリなど)が侵入し、壁の内部が腐ったり、室内にカビやシミが発生したりした場合…。
それはもはや「経年劣化」ではなく、「入居者が報告・対処を怠った(放置した)せい(善管注意義務違反)」による拡大損害と見なされる可能性が非常に高いです。
この場合、退去時に高額な修繕費用(原状回復費)を請求されるリスクが十分に考えられます。
音漏れに気づいた時点で、それは同時に「雨水」や「害虫」の侵入経路にもなっている緊急サインだと認識してください。
ですから、賃貸でエアコン穴の隙間に気づいた場合の最適な行動は、それが備え付けか自己設置かに関わらず、「自分で勝手に直す」ことでも「放置する」ことでもありません。
「隙間があって音漏れや害虫が心配なので、補修をお願いできませんか?(または、補修してもよろしいでしょうか?)」と、すぐに管理会社や大家さんに写真付きで報告・相談することです。
この「報告した」という事実(メールなどの記録)を残しておくことが、ご自身の身を守る(=余計な費用を請求されない)ために最も重要な行動ですね。
ちなみに、ポスターを貼るための「ビス穴」などは入居者負担での原状回復が求められることが多いですが、既存の穴の「パテ補修」は、建物の維持管理(軽微な修繕)の範囲内と解釈される可能性が高いです。
ただし、後述する「スリーブ交換」のような工事は、建物の「変更」にあたるため、絶対に事前の許可が必要です。
室外機の振動音も疑ってみる

これも「勘違いあるある」の失敗談です。
「エアコンの穴から『ブーン』とか『ガタガタ』っていう低い音が聞こえる…」
もしその音が、エアコンの冷暖房が稼働中にだけ聞こえ、停止すると(または送風だけだと)止まる場合。
その音源は「穴の隙間」ではなく、屋外にある「室外機」自体の振動である可能性が非常に高いです。
室外機は、内部のコンプレッサー(圧縮機)やファンが動作するとき、必ず振動します。
その振動が、設置された地面やベランダの床、そして配管を伝って「個体伝播音」として室内に響いてくるんですね。
この場合、いくら穴のパテを分厚く埋め直しても、音はまったく止まりません。
対策は「穴」ではなく「室外機」に行う必要があります。
振動の主な原因
- 1. 汚れの蓄積:ファンや熱交換器(フィン)にホコリやゴミが溜まると、モーターに負荷がかかったり、回転バランスが崩れたりして異常な振動や音が発生します。
- 2. 設置不良:室外機が置かれている土台(ブロックなど)がガタついていたり、ベランダの床が共振しやすい構造だったりすると、振動が増幅されます。
- 3. 経年劣化:内部のコンプレッサーやファンモーターのベアリングなどが劣化・摩耗すると、異常な振動音(異音)が発生します。
自分でできる振動対策
まず、安全のために必ずエアコンの電源プラグを抜いてから作業してください。
対策A:室外機周りの清掃
室外機のファン周りや、背面のフィンに付着したホコリや落ち葉などを、ブラシや掃除機で優しく取り除いてみてください。
(※注意:内部のフィンは非常に薄く曲がりやすいので、強く擦らないでください。自信がなければ専門のクリーニング業者に依頼するのが無難です)
対策B:防振ゴムの設置
これが非常に効果的です。
室外機の足(設置面)と、土台(ブロックや地面)の間に「防振ゴム(防振マット)」を敷きます。
ホームセンターやネットで、数百円から数千円で購入できます。
単純なゴム製のものから、衝撃吸収性に優れたゲル素材のものまで様々ですが、まずは安価なゴムマットから試してみる価値は十分にあります。
室外機は非常に重いので、持ち上げる際は絶対に無理をせず、二人以上で作業するか、片足ずつ持ち上げて差し込むなど、怪我や転倒に十分注意してください。
これらを試しても音が改善しない場合は、部品の故障(経年劣化)が考えられるため、修理またはエアコン本体の買い替えを検討する段階かもしれません。
正しいエアコン穴の音漏れ防音対策の道

さて、ここからが本題です。
私の失敗談を踏まえて、実際に効果が期待できる「正しい」防音対策を、ご自身でできるレベルから専門家レベルまで、具体的に解説していきます。
DIYでどこまでできるのか、そして最も重要な「安全に作業するための注意点」も併せて見ていきましょう。
最適解は遮音パテでの隙間埋め

音の原因が「外部音の侵入(音漏れ)」であり、その原因が「パテの劣化による隙間」である場合。
ご自身でできるDIY対策の「本命」であり、最もコストパフォーマンスが高い最適解が、この「エアコンパテの交換・補修」です。
これは音漏れだけでなく、隙間風、害虫侵入という、穴の隙間が引き起こす3大トラブルすべてに効果があります。
パテ選びの最重要ポイント(難燃性)
エアコンパテはホームセンターやAmazonなどで、300円〜1,000円程度で売っています。
選ぶ際のポイントは、私の経験上、絶対に以下の2点を満たすものにしてください。
- 不乾性(ふかんせい)長期間、粘土のような柔軟性を保ち、カチカチに硬化しにくいタイプです。安価なパテの中にはすぐに硬化して、結局また数年でヒビ割れてしまうものがあります。「不乾性」と明記された、品質の確かなものを選びましょう。
- 難燃性(なんねんせい)これが一番重要です。壁を貫通する部分は、建築基準法などでも火災時の「延焼経路」として厳しく管理される箇所です。万が一の火災時に、このパテが燃え広がる原因となっては絶対にいけません。必ず「難燃性」または「不燃性」と表示された、安全規格を満たした製品を選んでください。
(この話は最後の注意点でもう一度、強く警告します)
J所長のワンポイント:より高性能な「遮音パテ」もアリ
通常のエアコンパテ(主に隙間埋めと防水が目的)でも、隙間を塞ぐことによる基本的な防音効果(遮音)は十分にあります。
しかし、私のように音にシビアな方や、より高い防音性能を求めるなら「遮音パテ」や「防音パテ」として売られている製品を選ぶのも手です。
これらは一般的なパテより比重が重い素材(ブチルゴムなど)でできていて、音を遮断する性能(遮音性)そのものが高くなるよう設計されています。
私が防音室をDIYした時も、配管の隙間にはこういった高性能な遮音パテを、これでもかというくらい充填しました。
価格は少し高くなりますが、DIYの手間は同じなので、最初からこちらを選ぶのは賢明な判断だと思います。
【実践】パテ交換DIYの3ステップ
作業はとてもシンプルで、プラモデルを作ったことがある方なら誰でもできます。
(作業前に手をよく洗っておくか、薄手のゴム手袋をすると、パテが手にベタベタ付きにくくなるのでオススメです)
- STEP1:古いパテの除去まず、硬化してヒビ割れた古いパテを、マイナスドライバーやヘラ、使わなくなったカッターの刃などで、できるだけキレイに取り除きます。ここが一番の頑張りどころです。古いパテが残っていると、新しいパテが壁や配管にしっかりと密着せず、結局そこからまた隙間ができてしまいます。
配管やドレンホース自体を傷つけないよう慎重に、でも容赦なく「こそぎ落とす」感覚でかき出してください。
劣化したパテの破片が壁の穴の内部(スリーブ内)に落ちないように注意しましょう。
- STEP2:新しいパテをこねる新しいパテを袋から取り出します。(製品によりますが、200gもあれば1箇所分として十分足ります)これを、子供の頃の粘土遊びのように、油分が均一になって全体が柔らかくなるまで、よーくこねます。この「こねる」作業が不十分だと、パテが硬いままで隙間に密着しにくくなります。
- STEP3:隙間を埋めるこねたパテを、太めのヒモ状か、ドーナツ状、あるいは三日月状に伸ばします。そして、エアコンの配管(ホース)と壁の穴(スリーブ)の隙間を完全に塞ぐように、奥までしっかりと押し込みます。「表面だけをフタする」のは最悪のやり方です。必ず、隙間の奥から手前に向かって、空気が残らないように充填していくイメージで押し込んでください。
特に、雨水が侵入しやすい「配管の上側」は隙間ができやすいポイントなので、下側から上側に向かって念入りに充填してください。
最後に、表面をヘラや指で(水で濡らすとやりやすいです)平らにならし、雨水が溜まらないように少し傾斜をつけて仕上げれば完璧です。
専門業者にこの作業だけを依頼すると、出張費なども含めて最低でも6,000円〜8,000円くらいはかかります。
しかし、DIYであれば材料費の数百円〜1,000円程度で、音漏れ・隙間風・害虫侵入という複数の問題を根本的に解決できます。
作業場所が1階やベランダなど、足場が安定していて安全に作業できる場所であれば、ぜひ挑戦してみてください。
(※2階以上でベランダのない場所など、高所作業になる場合は絶対に無理をせず、専門業者に依頼してください。転落事故のリスクに見合う作業ではありません)
ポコポコ音なら逆流防止弁が有効

さて、今度は「ポコポコ音」に悩んでいる方向けの対策です。
先ほども言いましたが、これは「外部からの音漏れ」には一切効果がないのでご注意を。
対策は「穴」ではなく、屋外の「ドレンホース」に行います。
【絶対厳禁】ドレンホースの先端を塞がないで!
「ポコポコ音がうるさいから」といって、ドレンホースの先端(排水口)をテープで巻いたり、石で塞いだり、踏み潰したりする行為は、絶対に!絶対にやめてください。
これは、室内機内部で発生した結露水を捨てるための「排水管」の出口を塞ぐ行為です。
行き場を失った水はホース内を逆流し、室内機の吹き出し口からポタポタと水漏れを起こします。
これはエアコン本体の電子部品を濡らして故障に直結しますし、室内の床や壁、家財を水浸しにする二次被害を引き起こす、本当に危険な行為です。
私も昔、音に悩むあまり、知らずにやりかけて「いや待てよ、これ排水口だよな…」と気づいた経験があります。
絶対にダメです。
対策A:逆流防止弁(エアカットバルブ)の設置
これが最も根本的かつ効果的な対策です。
「ドレンホース用逆止弁(ぎゃくしべん)」または「エアカットバルブ」と呼ばれる専用部品を取り付けます。
これはホームセンターやネットで1,000円〜3,000円くらいで売っています。
取り付けは簡単です。
屋外のドレンホースの、なるべく地面から少し浮いた(水が溜まりにくい)適切な位置で、ハサミやカッターでホースをカットします。
そして、その切断面に逆止弁の部品を(向きを間違えないように)差し込むだけです。
この部品は、内部の弁が「結露水(室内→室外)は通す」が、「空気の逆流(室外→室内)だけはブロックする」という賢い構造になっているため、ポコポコ音を根本的に解消できますよ。
(※製品によって取り付け方法が異なる場合があるので、必ず説明書を読んでください)
対策B:ドレンホースの詰まり解消
詰まりが原因かもしれない場合は、専用の道具で清掃します。
「ドレンホースクリーナー」または「サクションポンプ」と呼ばれる、巨大なスポイトのような吸引ポンプが売っています。
これをドレンホースの先端に差し込み、ハンドルを引いて内部の汚れやゴミを強制的に吸い出します。
(※注意:家庭用の掃除機で直接吸うと、内部の水を吸い込んで故障の原因となるため、専用品を使用するか、水が入らないよう工夫が必要です)
本格対策は防音スリーブ交換

「レベル2のパテ交換(DIY)を完璧にやったはずなのに、まだ音が漏れてくる…」
「ピアノ室やホームシアター、あるいは私のトランペット練習室のように、もっと完璧な防音性能を求めたい」
こうなると、DIYの限界を超えた、プロの領域になります。
そして、この場合の原因は、もはやパテではなく、壁の穴の構造自体(貫通スリーブ)に施工不良がある可能性が非常に高いです。
なぜパテ交換だけではダメなのか?
エアコンの設置工事では、壁に穴を開ける際、通常は「貫通スリーブ」と呼ばれるプラスチック製の筒を穴に挿入します。
標準的な施工では、(1)壁と「スリーブ」の間の隙間をコーキング剤などで密閉し、(2)「スリーブ」と「配管」の間の隙間をエアコンパテで埋める、という2段階で隙間が塞がれます。
しかし、一部の工事(特に昔の工事や、コスト削減を優先した工事)では、この「貫通スリーブ」が使用されていなかったり、使われていても(1)の壁とスリーブの間のコーキングが不十分で隙間が残っていたりするケースがあるんです。
この場合、いくら表面のパテ(上記2.)を新しく交換しても、音は壁とスリーブの間(上記1.)から漏れ続けてしまいます。
プロの防音施工とは
この根本原因を解決する対策が、「防音スリーブ」や「防音ダクト」への交換・設置工事です。
私が防音室をDIYした時は、まさにこのレベルの工事を自分でやりました。
具体的には、壁を貫通している既存のスリーブ(筒)自体を、遮音性能の高い「防音スリーブ」(筒自体が遮音材で覆われているもの)に入れ替えます。
さらに、そのスリーブの内部(配管とスリーブの間)には、単にパテを詰めるだけでなく、「グラスウール」や「ロックウール」といった高密度の吸音材を、隙間なく充填します。
これらは吸音性に優れるだけでなく、「不燃認定品」であることが多く、火災安全性の観点からも非常に優れた材料です。
そして最後に、室内側・室外側の両方から「遮音パテ」で厳重に密閉する、といった多層構造を構築します。
ここまでやって、初めて「防音工事」と呼べるレベルになりますね。
【最重要】工事費用の「総額」に注意してください
この工事を専門業者に頼む場合、最大の注意点があります。
それは、すでにエアコンが設置されている場合、この工事のために「エアコンの一時的な取外し」と「工事完了後の再取付け」が必須になることです。
ウェブサイトに「防音スリーブ工事 7,000円〜」などと書かれていても、その料金だけを見てはいけません。
実際には、その工事費とは別に「エアコン脱着費用(標準工事で約30,000円〜)」が必ず加算されます。
(※配管が古くて交換が必要、室外機が高所作業、などの場合はさらに追加料金がかかります)
つまり、既存エアコンの穴の本格的な防音工事にかかる総額の最低ラインは、[スリーブ工事費 約7,000円~] + [脱着費用 合計約30,000円~] = 約37,000円~ はかかる、と覚悟しておく必要があります。
見積もりを取る際は、この「総額」を必ず確認してください。
業者選定のポイント
もしこのレベルの工事を依頼するなら、「近所のエアコン工事業者」に頼むのは得策ではないかもしれません。
彼らはエアコン設置のプロですが、「音響」や「防音」のプロではないからです。
できれば、防音室や音響設備の施工実績がある、専門の防音工事業者に相談することをお勧めします。
彼らは「音を止める」ためのノウハウや専用部材を熟知しています。
もちろん、賃貸物件でこの工事を行う場合は、必ず事前に大家さんや管理会社の書面による許可が必要です。
無許可で壁の構造に関わる工事を行った場合、契約違反として退去時に高額な原状回復費用を請求されますので、絶対にやめてください。
このレベルの対策は、費用やリスクを十分理解した上で、信頼できる専門家によく相談することを強く推奨します。
まとめ:エアコン穴の音漏れと防音対策
お疲れ様でした。
エアコン穴の音漏れ対策、思ったより奥が深いですよね。
最後に、防音研究所の所長として、皆さんが安全に、そして効果的に対策を進めるための重要なポイントをまとめます。
- まずは音の「診断」から聞こえる音は「外部の音漏れ」か、「ポコポコ音」か、「室外機の振動音」か。原因を間違えると、すべての努力と費用が無駄足になります。まずは冷静に音を聞き分けてください。
- DIYの本命は「パテ交換」外部の音漏れなら、DIYで最もコストパフォーマンスが高く効果的なのは「難燃性エアコンパテ」での隙間埋めです。100均のスポンジや隙間テープでは、「遮音」効果は期待できません。
- 賃貸は「報告・相談」が義務パテの隙間は「放置」が最大のリスクです。音漏れだけでなく、雨水や害虫侵入のリスクとして、速やかに管理会社・大家さんに報告・相談してください。パテ補修を超える工事(スリーブ交換など)は、必ず事前の許可が必要です。
- 安全を最優先すること「ドレンホースは絶対に塞がない」(→水漏れ・故障の原因)「パテは必ず難燃性(不燃性)を使う」(→可燃性の発泡ウレタンスプレーなどは火災リスクがあり危険です)「高所作業はDIYで無理をしない」(→転落事故のリスク)
この3つは、防音効果よりも常に優先されるべき、安全上の絶対的な鉄則です。
エアコンの穴は、住まいにおける「音の弱点」であると同時に、正しく処置すれば必ず塞ぐことができる「対策可能な弱点」でもあります。
私のトランペット防音の研究も、結局はこの「穴」や「隙間」との戦いでした。
正しい知識を持って、安全に対処すれば、音の悩みは必ず改善できます。
この記事が、皆さんの静かな生活を取り戻すための一助となれば幸いです。
「ラッパ吹きの防音研究所」所長のJでした。

